遺贈(遺言者が「自分が亡くなったら、財産を贈与する」ことを遺言に定めた場合)の登記の
必要書類についてご説明します。
(一般的な例についてご説明します。具体的なケースにより必要書類が異なることがありますので依頼する司法書士や、遺贈する不動産を管轄する法務局にご相談してください。)
遺言で遺言執行者が定められていない場合です。
(遺言執行者が定められている場合はこちら)
(生前贈与の場合はこちら)
◇遺言執行者が定められていない場合、
登記申請は遺言者の相続人全員とが受遺者が共同で申請します。
ということは、相続人以外の方に財産を贈与したいために遺贈するのに、
(財産をもらえない)相続人たちが登記申請に関与するため、
必ずしもスムーズに手続が進行しないおそれがあります。
相続人の関与する可能性を排除するには、
公正証書遺言を作成し、かつ遺言執行者を定める遺言をしておくのがお勧めです。
○遺言者の所有権の登記済権利証または登記識別情報
遺言者が生前その不動産を取得した際に法務局から発行された、
登記済権利証または登記識別情報です。(詳しい説明はこちら)
登記申請の意思確認のために添付します。
○遺言者の相続人「全員」の印鑑証明書
登記済権利証や登記識別情報を添付するのと同様に
登記申請の意思確認のために添付します。
遺言者の登記義務は、相続人全員が受け継いでいるので、
遺産分割協議の内容にかかわらず、全員が添付します。
(住所がある市区町村役所で取得します。発行後3ヶ月以内の有効期限があります。)
○被相続人(亡くなられた方)の死亡時から出生時にさかのぼる戸籍謄本
本籍地を管轄する市区町村役所で取得します。
除籍謄本、改製原戸籍謄本などと呼ばれる戸籍謄本もありますので、
お取りいただく際は「相続登記に使うのでさかのぼって」と指定していただくと
役所の方もこちらの意図をご理解いただけるので、不足なく取ってくれます。
結婚や転籍等で本籍地が変わっている場合、その本籍地の役所ごとに戸籍謄本を請求します。
有効期限はありません。
これは、遺言者が亡くなったこと(=遺贈の効力が生じたこと)を確認し、
被相続人の配偶者(夫または妻)、子がいるかどうか確認するためのものです。
(生殖能力がある年齢以降の戸籍が揃っていれば、子がいるかどうか確認ができるので、
必ずしも出生時までさかのぼる必要はないのですが、
一般の方がその年齢の戸籍かどうか判断するのが難しいと思われるので、
本項では「出生時まで」と記しています。)
○相続人全員の現在の戸籍謄本
相続人の本籍地を管轄する市区町村役場で取得します。
夫婦・親子など被相続人との関係が証明できるもの。
被相続人のように出生時までさかのぼる必要はありません。
有効期限はありません。
相続人が現在生存していることや、夫婦の場合離婚していないこと、
養子の場合離縁していないことを証明します。
○遺言書
公正証書遺言(公証役場で作成した遺言)の場合、
検認(家庭裁判所で行う、遺言の保存、確認の手続き)は不要です。
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は検認が必要です。
有効期限はありません。
遺贈の意思を証明します。
○相続登記の対象となる不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
法務局(登記所)で取得します。正確な地番、家屋番号がわかっている場合には、
全国どこの法務局、法務局証明センターでも取得できますし、郵送でも取り寄せ可能です。
住所はわかるけど、地番、家屋番号が不明の方は、
法務局で相談しながら物件を特定して取得することになるので、
その不動産を管轄する法務局で取得することをお勧めします。
登記申請の対象となる不動産の現在の権利関係を把握します。
その権利関係を前提として登記申請するので、登記手続の基礎資料となるものです。
○遺言者の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
被相続人が住民票をおいていた市区町村役所で取得します。
有効期限はありません。
登記簿上の住所と戸籍謄本のつながりを証明します。
最近では、「本籍の記載あり」と指定しないと、
本籍の記載が省略されることが多いのでお気をつけください。
○受遺者(遺贈により不動産を取得する方)の住民票
その方がお住まいの市区町村役所で取得します。
有効期限はありません。
登記名義人になる方の実在性、正確な住所を証明するためです。
○対象物件の固定資産評価証明書
不動産が存在する市区町村役所で取得します。(東京23区では、都税事務所で取得します。)
使用すべき「年度」が決められています。
ある年の固定資産評価証明書は、
その年の4月1日から翌年の3月31日までの登記申請に使用します。
(例えば平成21年度の固定資産評価証明書は、
平成21年4月1日から、平成22年3月31日までの登記申請に使用します。)
不動産登記法で定められた添付書類ではありませんが、
登記申請時に、国に納付する登録免許税を算出するために必要な書類です。
定額小為替を同封して郵送で取り寄せも可能ですので、
故郷の土地を相続した場合などでも、現地の役所に行かなくてもOKです。
○登記原因証明情報については、実務の取り扱いが統一され、
遺言書と遺言者の死亡時の戸籍謄本がこれにあたります。
登記の原因である「遺贈」が生じたことを証明する書面です。
遺言書のかわりに、遺贈の内容を報告書の形式にまとめた書面を提出しても
登記原因証明情報とは認められないことが明確となりました。
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